「つくば第1団・談話室」:わがスカウティング(1)


つくば第1団において、スカウト経験のある方々から、先輩としてボーイスカウトのお話をして頂きました。

今回はその第一弾です。

 

原点――18年前、そして今

ビーバー隊副長 中村泰輔

 ひょんなことがきっかけで、ビーバー隊のリーダーの方から寄稿のお勧めをいただいた。自分のことで気恥ずかしいものもあるが、身の上話におつきあいいただきたい。前回の隊集会は万博記念公園であった。私は仕事柄、科学関連のプログラムを多く担当するが、今回は自然探しの場所としてこの地を選んだ。担当リーダーとして私は、ビーバー隊の子供達に、「18年前のことですが、ここで…」と切り出した。1985年。筑波科学万博が開催された年である。

 当時私は千葉に住んでいた。当時小学2年生であった私も、両親に連れられて常磐線に乗り、万博中央駅(今のひたち野うしく駅)で電車を降りて、万博会場に行った。当時はまだ日本にビーバー隊がない時代であったので、ボーイスカウトのボの字も知らなかった頃である。

 残念ながら、万博に行った一日のすべてについて、克明な記憶はない。覚えていることと言えば、当時まだ珍しかった3Dメガネをかけて立体映像を見たことや、芙蓉ロボットシアターの「芙蓉」を「ふよう」と読むのだと知ったことぐらいである。

 ただ、数々のパビリオンで様々なプレゼントをもらった。その中に、日本IBM館でもらった一冊の手帳があった。「こども科学手帳」という名のその手帳は、科学に関する質問を公募し、それに答えるというQ&A形式で、自然現象の「なぜ?」について記してあるものであった。当時小学2年生であるので、そうは漢字が読めるわけでもなかったが、その科学手帳の一つ一つのQ&Aが、私にとっては初めて知ることばかりで、夢中で読んでいた。一通り読んで、数カ月経つと、またもう一通り読んで、の繰り返し。中学生になっても、部屋の掃除をするたびにでてくると、読んでみたりというほど、はまった。当時周りでは、虫に詳しい同級生が多かったが、自分はものが動く仕組みが不思議で、おもしろく感じるようになっていった。

 万博から遅れること数ヶ月、小学2年生の冬に私は某団でカブ隊に仮入隊し、ボーイスカウトとしての生活が始まった。腕っ節が強いわけでもなく、スポーツもまるで苦手だった私に、野外での活動は厳しいとも思われたが、自宅に舞い込んできたダイレクトメールの内容にふと惹かれて、仮入隊してしまった。

 ダイレクトメールに抱いた期待は裏切られなかった。カブ隊の活動は楽しく新鮮であった。体力面以外にもいろいろな面で自分を発揮できることを身をもって知って行くにつれ、ボーイスカウトが自分の確かな居場所になっていく気がした。

 さらに仮入隊とほぼ同時期、私の所属していた学級の担任が産休に入り、代理の先生が来た。それは、私にとって初めての男性の先生であった。まさに、「気は優しくて力持ち」タイプの先生。話をいつでもにこやかに聞いてくれる先生であり、厳しくすべき時はきちんと厳しくする先生でもあった。その先生にはわずか4,5ヶ月お世話になっただけだが、「僕もこういう先生になりたい」と子供心に思った。後に中学校での師との出会いによって、物理の先生になりたいという希望が固まるが、教職を目指す気持ちは18年前から今まで、結局変わることはなかった。

 今、私は、万博の地であったつくばに住み、そこでボーイスカウトにお世話になり、そして中学校・高校で物理を教える職に就いている。無論、18年前には想像もしなかったあゆみである。ただ、今まで書きつづってきた、科学への関心、ボーイスカウト、教職という3つの線は、結局撚り合わされ一本になってきている。スカウト活動を通して、「自分にも出来ることがある」という気持ちが生まれ、さらに進路を自分の意志で切り開くことの意義をも教えられた。科学への関心と教職への希望が相まって、理科教員への道を目指すことになり、大学は理系であったものの、教員志望が高じ、大学院で教育を学ぶべく、つくばに移ってきた。振り返ってみればみるほど、小学2年生の自分が、今の自分の原点であると痛感する。

 前所属団でビーバー隊の指導者となったのは18歳の時なので、ビーバー年代に関わって足かけ8年になる。つくば1団に移籍してまもなく2年になるが、やはりビーバーでお世話になっている。しかし、私自身にビーバースカウトの経験がない上に、子育ての経験もない。小学校1・2年生が主体のビーバー隊で、彼ら彼女らの年代にあった活動を進めていく際には、正直困難を感じることもあったし、今でもそうである。ただ、自分の経験をもふまえれば、ビーバー隊の活動の一こまの中で、彼ら彼女ら自身の将来につながる経験を得るスカウトもいるかもしれない。そう考えるたびに、1回1回の集会を大切にしなければならないな、少しでも新しい世界をスカウト達に見せてあげられるように精進しなければならないな、と思うのである。

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